スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ローマ人の物語 XI 終わりの始まり

rome11.jpg
 タイトル:ローマ人の物語 XI 終わりの始まり
 著者:塩野七生
 出版社:新潮社

結論から言えば、本書は面白い。
それは、アントニウス・ピウスの治世とは打って代わり、マルクス・アウレリウスの時代から蛮族の侵入が始まり、またその後は内乱の時代と移り変わり、動乱の時代に移っていくからです。
本書は、五賢帝時代の最後を飾り、哲人皇帝として名高いマルクス・アウレリウスから、内乱期を経て、セプティミウス・セヴェルスまでを扱います。

マルクス・アウレリウスは、「自省録」を残した、ストイックなストア派哲学者であり、蛮族の侵入などの国難に果敢に立ち向かい、五賢帝の中でも特に評価が高い皇帝だと言って良いと思います。
哲学者として内省に浸る暇もなく、パルティアとの戦争、そしてゲルマン民族の本格的な侵入が始まり、哲人皇帝マルクスは、治世のほぼ全期間を前線での指揮に明け暮れ、最後はウィンドボーナ(現ウィーン)で、息を引き取ります。
マルクス・アウレリウスの最大の失策は、五賢帝時代の有能な人物を養子として後を継がせるというシステムではなく、無能な実子コモドゥスに後を継がせたことだとされています。本書では好意的に記述していますが、結果をみればやはり失敗であったと言わざるを得ないでしょう。
五賢帝の中でも評価が高く、ストイックな哲学者が、自らの子のことになると適切な判断を誤り晩節を汚したというのは、やはり哲人皇帝といえども人の子ということでしょうか。

その後、ローマはコモドゥスの失政後、再び内乱期に突入し、ペルティナクス、ディディウス・ユリアヌス、 ペスケンニウス・ニゲル、クロディウス・アルビヌスなどの僭称皇帝が乱立しましたが、最終的にはセプティミウス・セウェルスがローマ皇帝に就任し、ここにセウェルス朝を開きます。
しかし、セウェルスは後継者としてカラカラとゲタの実子を共同皇帝として選び、再び世襲制の悪弊が始まることになります。
マルクス・アウレリウスは、五賢帝の中でも評価が高い人物ですが、本書では、彼の治世の時代から既に衰亡への萌芽は起きていたという視点から書かれており、これをもって従来の史観を覆す著者の独創と評価する向きもあります。

しかし、これは著者の独自の解釈と言うのは無理があり、マルクス・アウレリウスの治世で次々に起こった内憂外患のうち、外患はその後のローマ帝国の崩壊を直接的に導く魁であることは確かですが、マルクス・アウレリウスが有能であったため、それを押さえ込めることが出来たということだと思います。
そもそも、この外患は、アントニヌス・ピウスの消極的な外交姿勢に遠因があるという見解も有力ですし、更に先を辿れば、マリウスの兵制改革や、共和制末期から進行していた小作農の没落に遠因を辿ることも可能でしょう。
ローマ帝国の衰退は、色々な原因がかみあって、徐々に進行していたのであり、一人コモドゥスや、マルクス・アウレリウスに原因を求めること自体が間違っていることにように思われます。

いずれにせよ、これまでローマ帝国は、世襲制にするとことごとく失敗しているので、いい加減歴史に学べと言いたいです(笑)。

コメント

コメントの投稿

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。